第9章 お世話編
「ルドガーは……大丈夫なの?」
「何がだ?」
ぴたりと密着しても、上目遣いで見つめても、彼の金の瞳は興奮に色を変えたりしない。
いったい何が起きてるんだろうと思った。
「何でもないけど…」
でもこれ以上わがままは言えず、あなたは黙って彼の胸に耳を置いて、目をつぶっていた。
もしかして、こんな状態だから、そういう気分にもならなくなっちゃったかな。
早く治ればいいのにな。
そんなことを考えながら、しばらくして、部屋に戻ったとき。
どこかで予期していた出来事が、とうとう起きた。
部屋の扉を強く叩く音がする。
ルドガーがすぐに向かった。
すると濃色の制服を着た見知らぬ騎士が立っていた。
「ルドガーさん、任務要請です。出られますか」
「ああ、わかった。すぐに用意する。看護師を派遣してもらえるか?」
「はい、すぐに」
短いやり取りをして、彼は戻って来た。一転して苦渋の瞳だ。
「すまん、任務だ。なるべく早く帰る。看護師が来るが、大丈夫か?」
「全然大丈夫だよ、ありがとう、ルドガーも気をつけてね!」
あなたが元気よく声をかけると、彼は「心配するな」と柔らかく笑って頭を撫でた。
制服に着替え、素早く出発の準備をし、別れを告げる。
なぜだか、彼が任務に参加するのはいつものことなのに、あんなふうに向かうのは初めて見たからか、心臓がバクバクする。
あなたは彼のことを、いつも以上に無事を祈って送り出した。