第9章 お世話編
「今日はお前の好きなオムライスを作ったんだ。俺の苦手なエビ入りだぞ」
「ええっ、ありがとう〜! いい匂い、美味しそう! でもルドガーはなに食べるの?」
「普通の肉入りのを別に作ってある。……だが、俺の料理はお前のに比べておおざっぱな味付けだ。それでいいのか? 食堂でテイクアウトも出来るが」
彼はテーブルに食事を並べてくれて、あなたを椅子に座らせたあと、心配げに真向かいに座る。
「あなたのご飯すごく美味しくて大好きだよ。気持ちもこもってて。でも大変だろうから、テイクアウトできるならそれも嬉しいよ」
「いや大変じゃない。お前がそう言ってくれて俺も嬉しいぞ、もっとやる気が出る」
ゆっくり立ち上がったルドガーは、あなたの隣の席に座った。
そろそろ手の動きもおぼつかなくなっていたため、スプーンを持って口に運んでくれた。
そのときのやたらと優しい眼差しが、こそばゆくなる。
あなたはもそもそと口に入れて、よく噛んで飲み込んだ。
「お前が俺に毎日ご飯を作ってくれるだろう? 普通のメシより、力がみなぎるんだ。お前が作ってくれた愛情深いメシだからな。……だから俺も、お前にもっと元気になってほしくて、俺のメシを作る。効くかは分からないが」
鼻をかいて、照れくさそうに笑う様子を見ていると、あなたは続々と運ばれる口元より、目元を気にしなければならなくなった。
「ティッシュちょうだい、垂れる!」
「えっ? おい、どうして泣くんだ! 悲しいのか!?」
「ううん、嬉しいの!」
ぼろぼろ流れる滴を、忙しなく拭ってもらった。
この人と番になってよかった。
自分は愛されてるんだな。
そんなふうに、シンプルな思いだけがあなたの心と目元を温かく湿らせていた。