第8章 接触
「やりましょう、先生。ルドガーも。私、とてもやる気が出てきましたよ」
「……? さっき、お前怖がっていなかったか?」
「怖いけど、大丈夫だよきっと。ルドガーもついててくれるでしょう? あとフォロ先生も」
ごくっと喉をならし、鬼気迫る勢いで確かめると、二人は真剣に頷いてくれた。
こうしてあなたは、予期せぬ方向転換へ足を踏み入れるのだった。
診察のメインは終わったが、医術師フォロロットゥールは最後に書類を数枚渡してくれた。
「こっちの診断書は詳しく説明してあるもので、自分用に保管したり、他の医術師に見せる時に使うといい。そしてもう一枚は、もっと簡潔に書いてあるものだよ。もし必要なら上官やゼイラン様に提出することもできる。医術師の私が勝手に情報を誰かに渡すことはないから、安心してね」
「あ……ありがとうございます! 何から何まで…!」
しっかりと準備してくれた彼に、あなたは深く感謝する。
最初は不安だったけれど、ここに来てよかった。
騎士団に常駐しているフォロ医師は、あなたのことを注意深く見守り、定期的に診察をすると約束してくれた。
彼と別れ、廊下に出て、ルドガーと手を繋いで歩く。
「よかった……本当に優しい人だったね」
「ああ、先生は信用できるから、安心していいぞ、」
微笑みを浮かべて勇気づけてくれるルドガーだが、彼のほうが瞳が曇っている。
やはり心配が尽きないのだ。これからのことが。
それに守護者のことも、検査では気づかれなかった。
あなたが読むには難しい、医術用語が並ぶ書類をルドガーが見てくれたが、守護者については何も書かれてなかったそうだ。
「だが、本当によかった。今のお前は元気だ。異常はないんだからな」
「そうだよ、元気満々でしょう?」
「ああ。でもこれから俺はもっと早く帰ってくるぞ。お前の状態をチェックしないとな」
やる気に満ちたルドガーに、あなたは目を丸くする。
仕事があるのに、大丈夫なのだろうか。
そう思ったけれど、今のあなたは彼の心に寄り添い、二人で乗り切ろうとしていた。