第8章 接触
あなたの体を調べれば、何か手がかりが掴めるかもしれない。
そんな希望を胸に、二人は後日、騎士団本部一階に向かった。
奥まった廊下の先には医療室がある。
ルドガーが扉を開けると、窓から薄紫色の明るい光が差し込み、並ぶ寝台のカーテンがそよいでいた。
白い家具で統一され、医療棚や器具が整理されている。
すると別室から一人の大柄な男性が出てきた。
「先生、を連れてきたぞ」
「やあルドガー、それにお連れさんだね。よろしくさん。私は医術師のフォロロットゥールだよ。フォロで構わない」
「こんにちは、フォロ先生。今日はよろしくお願いします!」
白衣から太く逞しい腕が伸び、彼にがっちり握手をされた。
この医術師は想像とまったく違った。
短く整えられた白髪は老齢の男性であるが、体はルドガーと同じく屈強で、首が痛くなるほど背が大きい。
聞けば元軍医だといい、以前はゼイランの軍で働いていたそうだ。
彼の書斎机の前に、ルドガーと横並びに座った。
「――ということは、ルドガーのことを知っていたんですか?」
「うん、知ってはいたけれど、初めて会ったのは彼が三年前にここに来た時だね。最初は無鉄砲で怪我も多くて、私が診ることが多かった。でも今はすっかり出番も減ってしまったよな」
明るく笑う医術師に、ルドガーも懐かし気に頷いている。
「ルドガーはどうして騎士団に来たの?」
「任務ではチームワークが必要だったから、多少は協調性を学べと主人に言われたのさ。俺は嫌だったが、仕方なくな。これでも前よりはマシになっただろう? 先生」
「そうだな。さん、ルドガーは騎士と仲が悪いと思われがちだけど、騎士たちは本当は皆助かってるんだよ、とくに難しい任務ではね」
「えぇっすごいルドガー、やるじゃん!」
「ふっ。俺を褒めてくれるのはお前と先生ぐらいだ。あとゼイラン様もだな」
結構いるじゃないと突っ込むと、先生は大口で笑っていた。
「そんな彼が、こうしてパートナーを連れてくるようになったのは、とても感慨深いものだよ。よかったな、ルドガー」
腕をぐっと結んで、年長者の柔らかな顔つきで言われ、二人は照れる。
こうして話をして、すっかり気分も温まってきた。あれだけ緊張していた心が、いつの間にかほぐれていったようだ。