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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌- の短編集

第8章 【番外編】罪な男



視線の先では、ティファが袖を折り返しながら、まだ何か言いたそうにラビを見ていた。

ラビは涼しい顔でスープを啜っている。

「ラビ」
「ん?」

「……この上着、大きいわ」

「知ってるさ」

「動きにくい」


「悪ぃな」

ラビは、少しだけ視線を逸らした。

「一回、やってみたかったんさ。オレの上着、ティファに着せんの」


ティファが目を丸くする。

「そんな理由で?」

「オレにとっては重大なんさ」


ティファは何か言い返そうとして、結局やめた。



それを遠くから見ていたファインダー達が、低く唸る。

「……俺たちが見てたことは、言わないんだな」

「言わずに、別の本音で誤魔化した」

「タチが悪いぞ、あの男」



その時、ティファが少し俯いて、折り返した袖の端をきゅっと握るのが見えた。

ファインダーの一人が、フォークを取り落とした。

「……無理だ」

別のファインダーが、虚ろな目で頷く。

「昼飯の味がしない」

三人目が、深刻な顔で胸を押さえた。

「任務で見るAKUMAより、精神的にくる……」


長い沈黙が、卓に落ちた。



やがて、誰かが低く言った。

「……今夜、空いてる奴」



全員の手が、静かに挙がった。



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