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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌- の短編集

第8章 【番外編】罪な男



「……ラビ?」
「着とけ」

「だから、暑いって言って……」

「ティファ。頼むから、今日は着ててくれ」

ふざけた響きが、そこにはなかった。



ティファの瞳が、僅かに揺れる。何か言いかけて、口を噤んだ。

それから、諦めたように袖を通す。
大きすぎる袖を、ゆっくり折り返しながら。

「……分かったわ」


ラビは何も言わず、少しだけ口の端を上げた。




少し離れた席で、ファインダー達は完全に硬直していた。

「……今の」

「見たか」
「見た」

「いや、見てない。俺は見てないぞ」

「見ようとしただろ」
「しょーがないだろ! 男の性だ!」


一人が、震える手で紅茶の器を置いた。


「……ラビのあの目、AKUMAを見る時と同じだったぞ」

深刻な沈黙が落ちる。



やがて、一人が力なく口を開いた。

「……最初から上着を渡そうとしてたよな、あいつ」

「食堂に入った時点で、視線に気付いてたのか」

「その上で、本人には一言も言わない」

「言ったら意識させてしまうからか?」

再び、沈黙。


「……ティファさんにはあんなに甘いのに、俺たちには容赦ねぇな」



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