【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌- の短編集
第8章 【番外編】罪な男
その日の夜。
任務のない者だけが残った、遅い時間の食堂。
隅の卓に、例のファインダー達が集まっていた。
卓にはビールの入ったジョッキと、半分ほど減ったつまみの皿が並んでいる。
「……なんで」
一人が、ジョッキを両手で包んだまま呟いた。
「なんで俺たちは、恋の一つも出来ないんだ!」
誰も答えなかった。
答えられる者が居たら、この卓には座っていない。
「命懸けで働いてるんだぞ、俺たちは!」
「AKUMAの居る土地を探索して、エクソシスト様を案内して!」
「給料だって、良いほうだよなぁ?」
「なのに、なんで」
「なんで、あーんの一つもしてもらえないんだ……!」
拳が机を叩き、ジョッキの中でビールが揺れた。
「――アンタたち、今『してもらえない』って言ったわね」
背後から、声がした。
振り返ると、ジェリーが立っていた。
腕を組み、片眉を上げて、卓を見下ろしている。
「え」
「そこから、もう間違ってるのよ」
ジェリーは空いた椅子を引き、当然のように座った。
「一つ聞くけど。女性に気づかいとか、出来てるの?」
「……」
「恋は待ってちゃ始まらないのよ」
ファインダー達は顔を見合わせた。
してもらいたいことなら、まだいくらでも出てくるのに。
「ラビを見習いなさい」
「……ラビ?」
「昼間の、見てたでしょ」
「見てました」
全員の声が揃った。