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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌- の短編集

第7章 【番外編】中身にご注意



彼の顔から、みるみる血の気が引いていく。


「ひ……っ!」

壁へ背中を打ちつけながら、勢いよく道を空けた。


「だ、大丈夫ですか?」

私が一歩近づく。


ペック班長は両手で頭を庇い、その場へしゃがみ込んだ。


「ち、近づくな!」

「え?」

「もう近づかないと言っただろう!」


「私、何も……」

そう言いかけて、事情を思い出す。


彼が見たのは神田の中身ではない。

私の姿で、私の声を出しながら、自分を床へ押さえ込み、腕を捻り上げた相手。


身体が戻ったことを知らなければ、怖がるのも無理はなかった。


隣で、ラビが堪えきれずに吹き出す。


「……笑い事じゃないわよ」

「悪ぃ。でも、ユウのやったことが全部ティファのせいになってんの、オモロすぎて」


「どうした」

背後から声がした。


振り返ると、神田がこちらへ歩いてくる。

ペック班長が、さらに小さく身を縮めた。


神田は、腕に包帯を巻いたペック班長を一瞥する。


「どけ、邪魔だ」

その声を聞いたペック班長が、恐る恐る顔を上げた。


私と神田を交互に見る。


「その話し方……まさか……」

「何だ」


「あの日の……?」

何かを察したらしい。

けれど、完全には理解できていないようだった。


神田が一歩近づくと、ペック班長は床を這うように後退した。



「もう近づかない! お前達には近づかないから!」

そのまま立ち上がり、廊下の向こうへ一目散に逃げていく。



私は、その背中を呆然と見送った。



「神田」

「何だ」

「やり過ぎだったんじゃ?」

「少し躾けただけだ」


遠くから、「もう嫌だ! こんな本部!」というペック班長の悲鳴が響いた。



神田は気に留める様子もなく、そのまま廊下を歩いていった。

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