【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌- の短編集
第7章 【番外編】中身にご注意
ラビが私の肩へ腕を回す。
「ま、これであのヤロウも、二度とティファに色目使わねぇだろ」
「私が異様に怖がられることになったのだけど」
「悪ぃ悪ぃ。でも、今度こそ懲りたろ」
「……そうだといいけれど」
私は、ペック班長が逃げていった廊下の先へ目を向けた。
その隣で、ラビも同じ方向を見つめる。
肩へ回された腕に、僅かに力がこもった。
「ま、もし懲りてなくても、また触ろうとしたら、次はオレが止めるさ」
笑顔で告げるラビを見上げる。
止める、という言葉の意味を深く聞いてはいけない気がした。
「……これ以上トラウマは植え付けないでね」
「善処する」
「約束して」
◇
数日後、ラビと廊下を歩いていると、リナリーに呼び止められた。
「あっ、ねぇティファ、ちょっと聞きたいんだけど」
「どうしたの?」
「最近、ペック班長が全然近づいてこなくなったの」
リナリーは心底ほっとした顔をしていた。
「前は、コーヒーを運ぶたびに話しかけられて、少し困ってたから」
「そう……」
「特に、ティファが近くにいる時は絶対に来なくて」
心当たりしかなかった。
「ティファ、何かしたの?」
「……何もしていないわ。『私』は」
嘘ではない。
したのは、私の身体に入っていた神田だ。
「そう? でも、助かったわ」
リナリーは嬉しそうに手を振り、廊下の向こうへ去っていった。
隣で、ラビが小さく呟いた。
「ユウ、いい仕事したさ」
「褒めていいのかしら……」
それ以来、ペック班長は私と目が合うたび、きっちり三歩後退するようになった。
書類を受け取ろうと手を伸ばしただけでも、である。