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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌- の短編集

第7章 【番外編】中身にご注意



「ティファー?」

廊下の向こうから、聞き慣れた声がした。


思わず振り返る。


角の向こうから顔を出したのは、ラビだった。



辺りを見回しながら歩いてくる。


「検査終わった頃だと思ったんだけど……どこ行ったんさ」


どうやら、私を探して科学班まで来たらしい。



――ラビ。

呼ぼうとした。


けれど、今の私は神田の身体だ。


ラビの視線は当然のように私を素通りし、その隣――私の身体へ向かった。


「おっ、いたいた」

その顔がぱっと明るくなる。




まずい。

そう思った時には、もう遅かった。



「探したさー、ティファ」

ラビは何の疑いもなく神田の傍まで歩み寄る。

ごく自然な動作で、その腰へ腕を回した。


私なら、もう驚きもしないほど日常になっている仕草だった。



けれど今、その身体の中にいるのは神田だ。

そのまま、ラビは自分の方へその身体を軽く抱き寄せた。



「…………」

私の身体をした神田が、完全に固まった。


私も固まった。


コムイさんとリーバー班長まで、揃って口を閉じる。



ラビだけが気づいていない。


「検査、長かったな。喉どうだった?」

腰を抱いたまま、いつもの距離で顔を覗き込んでいる。


神田のこめかみに、青筋が浮かんだ。


「……離せ」

私の声だった。

けれど、地を這うように低い。


「ん?」

ラビが目を瞬く。

「何、機嫌悪ぃの?」


腰へ回した腕に、僅かに力を込める。



それが決定打だった。

神田の顔から、表情が消えた。


「触るな、馬鹿ウサギ」

「…………は?」

次の瞬間。

神田は腰へ回されていたラビの手首を掴み、力任せに引き剥がした。


「いっ……!」

「二度と触んな……っ」

「ちょ、待って。何で!?」


ラビは掴まれた手首を押さえながら、私の姿をした神田をまじまじと見る。



「……ティファ?」

「違ぇ」

「いや、違ぇって何さ」


「俺はティファじゃねぇ」


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