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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌- の短編集

第7章 【番外編】中身にご注意



「わぁ……」

コムイさんが、床へ転がった試験管と私たちを交互に見つめる。


その瞳が、好奇心にきらきらと輝いていた。


「まさか、本当に意識だけが入れ替わるなんて」

「本当に、って言いました?」

背後から追いついてきたリーバー班長の声が、低くなる。


「室長。その薬、何を目的に作ったんですか」

「疲労した精神を一時的に別の器へ移して、身体だけを休ませられないかなーって」

「それを、人体で試す前に蓋もせず持ち歩いていたんですか!?」

「まだ人体で試すつもりはなかったよ!」
「結果的に試してるでしょうが!」

二人の言い争いを聞きながら、私は自分の喉へ触れようとした。


けれど、そこにあるのは神田の喉だった。

いつも感じているニルヴァーナの微かな脈動がない。


代わりに、腰の六幻から、遠く隔てられたような違和感だけが伝わってくる。



「ニルヴァーナは……」

「こっちにある」

神田が、私の身体の喉元へ視線を落とした。


「妙な熱は感じる。だが、動かしてねぇ」

「絶対に発動させないで」

「言われなくても分かってる」



神田は立ち上がると、顔へ落ちてきた長い銀髪を鬱陶しそうに背後へ払った。


けれど、その手はすぐに離れた。

髪にも、服にも、必要以上には触れようとしない。



自分の身体なのに、その動作も立ち方も完全に神田だった。



「さっさと戻せ」

「すぐ中和薬を作るよ。ただ、最低でも二時間くらいは――」


「二時間?」

私の顔で、神田が笑った。

もちろん、少しも楽しそうではない。


「その前にてめぇを斬る」
「待って! 君は今、六幻を発動出来ないだろ!」

「なら、殴る」

「私の身体で暴れないで!」


自分の顔でそんな物騒なことを言われると、妙な気分になる。


しかも神田は本気だ。


私の手を強く握り締めたまま、じり、とコムイさんへ一歩近づく。


「神田、やめて! 殴ったら中和薬が作れないわ!」

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