【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌- の短編集
第6章 【番外編】脚線美論争、勃発
まるで世界の命運でも決めているような空気だった。
「待て。リナリーさんだって戦闘中の蹴り技があるだろう」
「そうだ! あのダークブーツとの組み合わせを忘れてもらっては困る!」
「しかし、ティファさんには銀髪と黒い団服の対比がある!」
「脚だけじゃなく全体の完成度で攻めてくるな!」
「そもそも、二人を比べること自体が間違いなのでは……?」
「逃げるな。今日は結論を出す日だ」
そんな、実にどうしようもない会議が白熱していた、その時だった。
「……何の結論出す気さ、お前ら」
背後から、やけに明るい声が落ちる。
ファインダー達の身体が一斉に固まった。
ゆっくり振り返る。
そこには、トレーを片手に持ったラビが立っていた。
顔は笑っている。
けれど、翠の瞳は笑っていない。
「ラ、ラビ……」
「いつからそこに……」
「ティファ派って単語が聞こえた辺りから」
終わった。
ファインダー達の顔から、どっと血の気が引く。
ラビはトレーを机へ置くと、にこりと笑った。
「で?」
「いや、これはその……」
「ティファの何が、どう見えるって?」
「誤解だ!」
「何が誤解さ」
「我々は決して不埒な目で見ているのではなく、団服の造形と戦闘時における布の動きが生み出す美的効果について論じていただけで――」
「余計アウトさ!!」
ラビの怒鳴り声が食堂へ響いた。
周囲の団員達が何事かと振り返る。
けれど、ファインダー達は必死だった。
「でもラビだって分かるだろ!?」
「何が」
「ティファさんの団服、スリットが絶妙だってことだよ!」
「お前、今すぐ死地に送り込まれてぇ?」
「だって恋人なら見たことあるだろ!?」
「…………」
ラビの動きが止まった。
一瞬の沈黙。
ファインダー達の目が、ぎらりと光った。