【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌- の短編集
第8章 【番外編】罪な男
隣では、ティファが何も気づかずにスープを飲んでいた。
……この騒ぎで、よくそんな平和な顔してられんな。
……ちょっと可愛いけど。
そちらを見て、ようやく少し息を吐く。
……落ち着けーオレ。
別に、何かされたわけじゃねぇ。
いつもみたいに、やめさせりゃいい。
そいつらへゆっくり視線を流した。
――いい加減、見んのやめろ。
この前は、慌てて目ぇ逸らしたからな、コイツら。
一秒。
二秒。
…………誰も、逸らさなかった。
それどころか、数人が勢いよく身を乗り出した。
「出たっ!」
「これだ! これを待ってたっ!」
「待て! どのくらい目開けてた!?」
「これくらい……」
一人が、自分の目を細めてみせた。
「違う、もっとこう……鋭く」
思わず、片目を見開いた。
……は?
何なんさコイツら……っ!?
なんで真似してんだ……!?
目が合ったまま、一人が大きく頷く。その隣では、手帳を開いた男がオレと紙の上を忙しく見比べていた。
……本当に書いてやがる。
いや、何を!?
耐えきれず、オレは手元へ視線を落とした。
――なんでオレが、先に目ぇ逸らしてんだよ……っ!
皿の中には、まだ半分以上残っている。
とにかく飯だ。相手にしなきゃ、そのうち向こうも飽きんだろ。
また顔を上げそうになるのを堪え、半ば意地で肉をひと欠片、口へ放り込んだ。
「……見ろ、肉食ってるぞ肉」
危うく、むせるところだった。
「ワイルドさも持ち合わせてるのか……っ!」
「おい……肉くらい、俺たちも食ってるだろ」
まともな奴がいた。