【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌- の短編集
第8章 【番外編】罪な男
オレはようやく肉を飲み込み、ほんの少し肩の力を抜いた。
次のひと欠片を、口へ運ぶ。
「じゃあ、何が違うんだ?」
別の奴が食い下がると、手帳を開いていた男が首を傾げた。
「…………食い方?」
いや、どーみても普通に食ってるだろ!
お前からも何か言って――。
「――言われてみれば確かに! 魅せる食い方してんなぁ……!」
言ったのは、さっきのまともな奴だった。
「ぶふぉっ」
「ラビ……っ!? 大丈夫……っ!?」
「げほっ、げほっ」
ティファが心配そうにオレの背中を摩る。
「だ、大丈夫さ……っ。ちょっと変なとこ入っただけ……」
魅せてねぇよ……っ!
どこをどう見たら、そうなるんさ……っ!
もう一度肉を取ろうとして、やめる。
代わりにスープへスプーンを沈めたけれど、今度は口へ運ぶところまで見られていると思うと、どうにも動かしづらかった。
……いや待て。
オレ、普段どうやって食ってたっけ!?
スプーンは、右手だったよなぁ……? って、そこから確認してどうすんさ……っ!
「……ラビ?」
隣から名前を呼ばれ、思わず勢いよく振り向いた。スプーンが器の縁に当たり、かちん、と余計に大きな音を立てる。
ティファが、その手元を見てから首を傾げた。
「あの人たち、さっきからあなたのこと見てない?」
……なんで、そっちは気付くんさ。
いや……あいつらが異常なのか……。
「……き、気のせいさ。気のせい」
ティファの眉が、ますます不思議そうに寄る。オレは慌てて口の端を上げ、何でもないふりでスプーンを持ち直した。
もう向こうを見ないようにして、スープを啜る。
……いつもより、少しだけ味がしなかった。