【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌- の短編集
第8章 【番外編】罪な男
Side:ラビ
数日後の、昼の食堂。
スプーンを持ったまま、オレは眉を寄せた。
さっきから、視線を感じる。
またかよ、コイツら……。
隣で食事をしているティファを横目に確かめてから、いつものように牽制も兼ねて食堂へ視線を流す。
けど、なんか違った。
――誰も、ティファを見てねぇ。
少し離れた卓に、この前のファインダー達がいた。食事にはほとんど手を付けず、全員がこちらを見ている。
…………というか、オレを。
……んん?
もう一度、さりげなくあの卓へ目を向けた。
……全員と、目が合った。
…………。
さりげなくやった意味が、なかった。
……いや、待て。
……なんでオレ?
口へ運ぶ途中だった匙を、ひとまず皿へ戻す。
何でもない顔をしようとしたのに、目が合った男が隣の奴を小突いたせいで、ついそっちまで見てしまった。
「よし! 見逃すなよ……」
「……お前、なんで手帳」
「俺は書いて覚えるタイプなんだ……」
一人は、なぜか小さな手帳まで開いていた。
オレ……座って飯食ってただけだよな……?
妙に背中が落ち着かなくなって、椅子の位置を直そうと腰を浮かせた。途端、向こうの卓から抑えた声が飛んでくる。
「……席、直したぞっ」
「きたっ……! 例の角度だ……っ!」
「ま、待て……! どう書けばいいんだ……!」
椅子を引く手が、途中で止まった。
……角度ってなんさ、角度って。
中途半端な位置で止まったせいで、かえって座りにくい。けど、もう一度動かせばまた何か言われそうで、オレはそのまま背筋を伸ばした。
……人を見るのは慣れてるっつーのに、見られんのは落ち着かねーな。
……報告書にでもされんのか、オレの昼飯。