【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌- の短編集
第8章 【番外編】罪な男
「……ティファさんは、ラビが頼んだって知ってるんですか?」
「私の差し入れだと思ってるわ。ラビも、わざわざ言わないし」
一人が、手元のジョッキへ目を落とした。
「……俺たち、服しか見てなかったな」
別の男が、震える声で言った。
「ずるいだろ……っ。見えないとこまで、ちゃんといい男なのかよ……っ」
「しかも本人にはバラさない……っ! なんてやつだ……っ!」
「それとね、世話を焼くだけじゃないのよ」
「まだあるんですかっ……!」
「あの子に甘えてたでしょ。お菓子を一口ちょうだいって」
「ああ……ねだってましたね」
「正直、妬ましかった……っ」
「尽くすだけじゃなくて、ちゃあんと自分からも甘えるの。あれ、結構大事よ」
「……どうしてです?」
「大事にされっぱなしより、自分も何かしてあげられる方が嬉しいでしょ。……ラビはそれを自然にやるのよねぇ」
一人が、妙に真剣な顔で呟いた。
「……なんか、ラビを観察したくなってきたな」
「分かる」
ジェリーは、指をもう一本立てた。
「最後に上着を着せた時、声が変わったのは気付いた?」
ファインダー達は思い出した。
――ティファ。頼むから、今日は着ててくれ。
「軽口九割、本気一割。……で、その一割が妙に真っ直ぐなのよねぇ」
「け……計算なんですか、あれは」
「計算じゃないわ」
ジェリーは首を振った。
「本気の、気づかいよ。……だから効くの」
ファインダー達は、しばらく黙っていた。
やがて、一人が身を乗り出した。
「じゃ、じゃあ、俺たちも真似すれば……」
「やめときなさい」
「なっ、なんで……!」
「アンタたちがやったら、ただの不審者よ」