第13章 13
カランカランーー
「いらっしゃいませっ!」
ポアロのドアを開けると元気な梓ちゃんの声に迎えられる。
それから少し遅れて安室さんの爽やかな声が聞こえたけど、カウンターのところでしゃがんでなにかしていた。
「こんにちは。いいですか?」
「柚希ちゃん!もちろん!こっち座って、座って!」
梓ちゃんは私のお気に入りの席を椅子を引いてくれた。
「ありがとう!…えっと、どうかしたの?」
私は安室さんの方に目をやりながら梓ちゃんに聞いた。
「それが…壁にかけてる時計がね、電池変えても止まっちゃうの。」
いつも時計が掛かっている場所は空になっていて、外された時計を安室さんが見ているようだった。
「………あの、私見てみましょうか?」
安室さんに声をかけると、ゆっくり私の方を見た。
「いいんですか…?」
「はい。じゃあ、ここで見てもいいですか?」
私は自分の席を指差すと、安室さんは頷いた時計を持ってきてくれた。
「少し前から調子が悪いんです。」
「そうなんですね。」
「では、道具箱持ってきますね。」
そう言って安室さんがバックヤードに入って行こうとするので止めた。
「大丈夫です。私持ってるので!」
一瞬驚いたように目を見開いた安室さんは、すぐに柔らかく微笑んだ。