第12章 12
「…佐藤さん、ありがとう…ございます……。こうやって何年も大事に持っていてくださって…。」
「いいのよ。あなたも警察官だったから、すぐに渡せるかと思っていたの。…でも私は爆発処理班の部署まで足を運んだ時には、もう退職した後だったから…。」
「……現場で解体ができなくなってしまったんです……。上司の方たちは『焦らなくていい』と言ってくださいました。でも、このままでは皆さんに迷惑をかけてしまうと思って……退職を選びました。」
「そうだったの…。誰に聞いてもあなたの居場所がわからなかったの。だから今日あなたに偶然会うことが出来て、私はとても嬉しかったわ。やっと松田くんの最後の想いをあなたに渡せて……。」
佐藤さんはどこかすっきりとした顔をして微笑んでいた。
私は犬のぬいぐるみをもう一度ぎゅっと抱きしめた。
………やっと、会えたね…。
私は眠たそうな目をしたぬいぐるみの頭を優しく撫でた。
………私はあなたに会えてすごく嬉しいよ。
お家に一緒に帰ろうね。
私はぬいぐるみを袋の中に戻そうとした時、カサッと袋とは違う音が聞こえた。
………なに…?私は袋の中を覗き込んだ。