第12章 12
「私11月7日も松田くんと現場にいたの。あの時無理にでも止めてたらって今でも思うことはあるの。だからごめんなさいね。」
「えっ…。いえ。…でも、じんぺーくんはきっと止めても無理にでも乗ったと思います。私だって止めたかった…。」
あの日のことを思い出す。
もし、あの時わたしが間に合っていたらって…。
そんな「もし」を何度も繰り返した。
思い出すたびに呼吸が苦しくなり、体が震え、血の気が引いていくようだった。
………でも…
「そんなに後悔するってことは大切な人だったからです。後悔ばかりしないでください。あなたはとても頑張ったんだと思います。」
あの時安室さんが優しく言ってくれたんだ。
そのおかげで、私は今少しずつだけど前を向けている。
「そう…、あなたもあの場所にいたのね…。」
「…はい。」
佐藤さんが一瞬悲しそうな顔をしたが、コーヒーを手に持ち口をつけた。
私も従うようにミルクティーを持って一口飲んだ。
「佐藤さん、ご自分を責めないでくださいね。悪いのは佐藤さんじゃありません。……あんなとこをした爆弾魔なんですから…。」
「ありがとう…。」
佐藤さんは力が抜けたように笑った。
「いえ…、私にも同じように声をかけてくれた方がいて救われたので。」
私はカウンターに立って作業をしている安室さんのことをチラリとみた。