第12章 12
私の隣で聞いていたコナンくんが様子を窺いながら声をかけてきた。
「ねぇ、柚希さんって松田刑事と知り合いだったの?」
「あっ…。うん、そうだよ。松田陣平くんは私の幼馴染なの。」
「えっ、そうなんだ。…なんだかすごい繋がりだね。」
コナンくんはびっくりしたように目を見開いた。
「コナンくんもじんぺーくんのこと知ってるんだ?」
「あっ、僕は直接会ったことはないんだけど、話を聞いたことがあるかな。」
「そっか、そっか。コナンくんみたいな小さい子にも名前を知ってもらってるなんて、じんぺーくんは有名人だな…。」
私はおかしくなって小さく笑ってしまった。
「ふふ、意外と彼有名人よ。」
佐藤さんも便乗して微笑んだ。
「そうね、松田くんの第一印象は最悪だったわ。」
「上司にも平気で口答えはするし。彼最初の挨拶でなんて言ったと思う?」
「…そうですね…、犯人を絶対捕まえてやるって感じでしょうか…?」
「それがね、彼『来たくもねぇ係に異動させられて、あんまり機嫌がよくねぇんだ。』って言ったのよ。」
「もう今でも覚えているわ。」
「でもね、あんな態度だったのに不思議とみんな最後は松田くんを信頼していたの。」
佐藤さんは優しい笑顔のまま話をしてくれた。
「事件のことになると途端に頼りになるのよ。それに人を助けるためなら自分の危険も顧みないって感じだったわ。」
………私の知らない、捜査一課でのじんぺーくん。
「………とても、じんぺーくんらしいですね…。」
じんぺーくんが亡くなった後でも、こうやってじんぺーくんの話してくれる人と出会えて嬉しい。
それなのに、胸の奥はきゅっと締め付けられるように切なくなった。