第12章 12
それから、ケーキ2つとコーヒーとオレンジジュースをトレーに載せ、安室さんはコナンくんたちのテーブル席に運んで行った。
いつも試作品を食べさせてもらってばかりで、なんだか申し訳ないな。
というか、私の感想で大丈夫なのかな…。
「柚希さんも、お待たせしました。」
そう言って目の前にコトリと置かれたお皿の上にはこんがりと焼き目がついたパウンドケーキだった。
生地の中にはみかんの果肉が入っているのがみえる。
バターと柑橘の香りが漂ってきた。
「わぁー…。」
私はパウンドケーキと安室さんの顔を交互に見た。
「ふふっ。どうぞ、召し上がってください。」
「やったー!いただきます!」
私はすぐにフォークを持ち、パウンドケーキを1口大に切る。
フォークを入れると、ホロリと崩れた。
「あっ、これは絶対美味しいやつ…。」と確信を持ち一口パクりと食べた。
まず最初にバターのコクが広がった。そのあとを追いかけるようにみかんの甘酸っぱさが口に広がった。
「………美味しい…。…美味しいです!」
「それはよかったです。」
安室さんは微笑みながら私が次から次へと口の中にパウンドケーキが消えていく様子を見ていた。
「安室さん、このパウンドケーキ大優勝です!」
私はあまりに美味しすぎて大興奮。
「生地はしっとり、ふんわり。食べたら口の中でほろっとほどける。味も最高。バターとみかんと、これ紅茶入ってます?全部があいまって口の中が幸せになりました!」
「ふふ。実は少しアールグレイを入れてるですよ。そんなに褒めていただけて光栄です。」
そんな私の様子を見て、安室さんは笑っていた。