第12章 12
「柚希さんはみかんはお好きですか?」
「………え?あっ、はい。好きですが…。」
安室さんからの唐突な質問に反応が少し遅れる。
返事を聞いた安室さんはいつもの優しい笑みを浮かべた。
「よかった。…代わりになるかわかりませんが、今みかんを使ったデザートの試作をしているんです。もしよろしければ召し上がっていただけませんか?」
「試作…。いいんですか…?」
「はい、もちろんです。むしろお願いします。感想も聞かせていただけると助かります。」
「えっと…、それじゃあ、お言葉に甘えていただきます。」
「はい。少しお待ちくださいね。」
安室さんはまずコナンくん達の注文の品を作り始めた。
私が話しかけてしまったせいで、少し手を止めさせてしまった。
申し訳ないことをしたな。
どうやらホットコーヒーを作っているようだ。
コーヒーのいい匂いが鼻腔をくすぐる。
私も爆処にいた時は待機もあったりでブラックコーヒー飲んでたっけ。
でも元々甘党だったから、いつまで経ってもブラックコーヒーの苦味に慣れなかったな…。
だからブラックコーヒーを飲む時はチョコレートが欠かせなかったんだよね。
………もしトラウマを克服して爆処に戻ることが出来たら…、またブラックコーヒーを飲むことになるのかな…。
そんなことを考えると、小さなため息が一つでた。