第11章 11
チョコレートミルクティーのおかげで先ほどの重たい空気が元に戻ったような気がした。
………びっくりした。あんな表情の安室さんは初めて見たから。…よかった。
その後はゆっくりチョコレートミルクティーを飲んでいる。
その間にもお客さんの出入りがあり、安室さんも梓ちゃんも要領よく仕事をこなしていく。
………やっぱりすごいな…。
私は2人の様子を見ながら感心していた。
やっとひと段落したようで2人はカウンターに戻ってきた。
「お疲れ様です。」
「ありがとう、柚希ちゃん!でも、大丈夫だよ!」
「ほんとすごい!実は私ね、三が日バイトしてたんですよ!」
「えっ!新年早々?!」
梓ちゃんは少し驚いたように口に手を当てた。
「うん。デパートのね、初売りのスタッフのバイトだったの!」
「へぇー!柚希ちゃん接客とかすごく丁寧にしそうだよね!」
「それが接客業ってしたことなくて初めてだったの。それにお正月の初売りがあんなにすごいなんて思わなくて。」
私は思い出したように笑った。
「福袋も人気で開店前から並んでてびっくりしちゃった。」
「そうだよね!私も買いに行く側だけど、もうあれは争奪戦なの。」
つられるように梓ちゃんも笑っている。
「もう大きな声を出しすぎて、途中で喉がやられると思いました。」
「うんうん、たしかに初売りのスタッフってすごい大きな声出してるよね。でもみんな福袋に集中して、なかなか聞こえなかったりするんだよね。大変だったね。」
「もう足はパンパンだし、声はなかなか通らなくて大変だしで…。接客業ってすごく大変だなって。だから毎日接客してる2人は本当にすごいなって!尊敬しちゃう!」
そういうと、今まで黙っていた安室さんが一瞬目を見開いたが、またすぐにいつもの穏やかな笑顔に戻った。
私は2人に向かって小さく拍手した。