第11章 11
その後彼女はお年賀の中身を話した。
そして、思い出したようにこう言った。
「クリスマスプレゼントも迷った。」「コナンくんのお知り合いにアドバイスを貰った。」「大学院生。」と。
………コナンくんの周囲で大学院生…。もしかして…。
僕は一旦気持ちを落ち着かせるため、梓さんに他のお客様の注文の品を運んでもらうように頼んだ。
彼女の口からその名前を聞いた瞬間、頭に血が昇りそうになった。
………赤井……秀一。
僕が沖屋昴の名前を口にしたことに驚いたのか、目を丸くした。
「彼になにか妙なことは言われませんでしたか?」
そう聞くと思い出したように、ウイスキーのバーボンを勧められたと…、
彼女は「お酒を飲むイメージないのに。」とおかしそうに笑っていた。
そんな彼女とは対照的に、僕は今にもあいつを殴り飛ばしたい衝動を抑えていた。
どう言うつもりで言ったかはわからない。
ただ彼女が知らなくても、僕が〈バーボン〉だという事実は変わらない。
だからこそ、彼女に「バーボン」という言葉を向けたあいつが心底気に食わない。
でもいまは彼女の前だ。冷静にならなくてはいけない。
「……そうですか。」
「…お知り合い…でしたか?」と彼女はこちらを窺うように言った。
あいつを知り合いなどと呼びたくなかった。
少し迷ったが「ええ…少し。」と返答した。
その後、彼女は空気を変えるようにチョコレートミルクティーへ口をつけた。
そして「…はぁ…。美味しいです!」と明るく言ってくれた。
彼女なりに気を遣ってくれたのだろう。
おかげで僕も少しだけ肩の力を抜くことができた。
side 安室透 end