第11章 11
その後は注文のハムサンドを作っていると柚希さんのお腹が小さく鳴った。
いつもの彼女に戻ったことに安心したと同時に「ふふっ。」と思わず笑ってしまった。
彼女は「笑わないで」と恥ずかしそうに両手で顔を隠した。
………なんて素直な子だ。
裏と表の顔を使い分ける僕とは正反対だ。
だからこそ、感情がそのまま表情やしぐさに出る彼女が不思議と眩しく映るような気がした…。
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ハムサンドが出来上がり、盛り付けをする。
パセリとポテトチップに加えていつも乗せていない小さなオムレツを一つ。
オムレツは朝に仕込みで少し多くできてしまった。
お腹が空いている柚希さんにちょっとしたおまけだ。
どんな顔を見せてくれるだろうか…。
僕は少しの期待を胸に彼女の前にハムサンドをおいた。
「お待たせしてしまってすいません。」
彼女は「いただきます!」と言ってハムサンドをパクりと食べた。
いつものことながら美味しそうに食べてくれると気持ちがいい。
あっという間にハムサンドを一切れ食べた柚希さんが「あれ?これ…」と言って僕を見上げた。
………気がついた…。
彼女に「よかったらどうぞ。」と言うと嬉しそうにオムレツを一口食べた。
途端に彼女の頬が緩んでいく。
………そう、その顔だ。僕がみたかったのは…。
「美味しそうに食べていただけて嬉しいです。」
「…だって…、美味しい…。」
いつも敬語の彼女が、不意にこぼしたタメ口。
それ一言に思わず頬が緩む。
「光栄です。」
そう返しながら後片付けを始めた。
視界の端には、幸せそうにオムレツを頬張る彼女の姿が映っていた。