第11章 11
「…お口に合いましたか?」
きっと返答は「美味しい。」だと思う。
案の定、彼女は少し慌てたように言ってくれた。
僕はその反応と「美味しい」と言ってくれる声が嬉しくて、頬が緩んだ。
「ふふ、それはよかったです。」
そう言って僕は緩んだ顔を見られないようにそのままカウンターの中へ入った。
ミルクティーを淹れた後片付けをしようとした時、彼女がミルクティーを一口飲んだ。
彼女の方をチラリと見ると先ほどまでとびきりの笑顔だったはずなのに、今の彼女は少し悲しそうな顔をしていた。
「どうかされましたか?」
反射的に聞いてしまった。
「……えっと…、どうしてですか?」
「元気がなさそうに見えたので…。」
そう言うと彼女は一瞬理解したような顔をして、「大丈夫ですよ!」と言った。
思った反応とは違い驚いた。
元気を装うように笑う彼女を見て、これ以上踏み込むことはやめた。
だから無理に聞くことはしない。
「…そうですか、元気ならよかったです。」
そう、返答するしかなかった。
………またいつか彼女から話してくれる日を待とう。