第11章 11
side安室透
正月も過ぎた4日。1.2日はポアロが休みで、昨日からポアロは開店していた。
彼女の姿はクリスマスから見ていない。
次はいつ来るのかと漠然と考えている自分がいる。
今日も朝から常連の方がモーニングを食べに訪れていて、料理に勤しんでいた。
ドアのベルが鳴る。
僕は手元から目を離さずに「いらっしゃいませ。」とだけ声をかける。
コツコツとブーツの音と共に「こんにちは。」と心待ちにしていた声が聞こえた。
思わず顔を上げると、笑顔の柚希さんだった。
気づけば口元に笑みが浮かんでいた。
その後彼女と新年の挨拶を交わした。
彼女と出勤して来た梓さんも交えて他愛もない話をしたり、注文の品を作ったりといつもの時間が流れていく。
だが、不思議といつもよりも少しだけポアロが穏やかに感じられた。
僕の中で、柚希さんがいるポアロが少しずつ当たり前になっていたのかもしれない。
だからだろうか。
数日姿を見ないだけで、今日は来るだろうかと、無意識に入口へ意識を向けてしまう…。
ミルクティーを淹れている間も、彼女が嬉しそうに待っている気配が伝わってくる。
……そんなに楽しみにしていただけると、作り甲斐がありますね。
出来上がったミルクティーを差し出すと、彼女の表情がぱっと明るくなる。
美味しそうに飲む彼女を見るとまた美味しい一杯を淹れたくなるのだった。