第11章 11
「………沖屋…、昴。」
安室さんが沖屋さんのフルネームを口にしたことに、少しびっくりした。
「…彼はなにか妙なことを言ったりしていませんでしたか?」
「え?いえ。特に言ってなかったです。あっ、でも初っ端にバーボンってウイスキーはどうですか?って言われましたね。」
「お酒を飲むイメージないのに」と思わず笑ってしまった。
「………そうですか。」
あれ?何だろう…、顔は笑っているのに。
いつもの優しい目じゃない…。
初めて見る鋭い視線に背中がすっと冷える。
「…えっと…、お知り合い…でしたか?」
一瞬視線を伏せてから、いつもの優しい目に戻った。
私の質問に少し言葉を選ぶように「…ええ、少し…。」と言った。
「…そうなんですね。」
安室さんがあんな顔をするんだ。
あまり、深く聞かない方がいいよね…。
私は先ほど入れてもらったチョコレートミルクティーを飲むことにした。
顔を近づけると、ふんわりカカオの香りがして来て思わず頬が緩む。
「いただきます。」
チョコレートミルクティーを1口飲むと途端に口の中にじんわり甘さが広がる。
先ほどの緊張が少しずつほぐれていくようだ。
私は息を一つ吐いた。
「…はぁ…。チョコレートミルクティー美味しいです!」