第11章 11
「…柚希さん、お口に合いましたか?」
ミルクティーを持って来てから私の横に立っていた安室さん。
優しく笑いながら私と目線を合わすように少しかがんだ。
「!!もっ、もちろんです!とてつもなく最高に美味しいですっ!」
………ち、近いです…!!
安室さん、これわざとしてる?
…してるよね?
だってこんな至近距離でイケメンに微笑まれたら、緊張しちゃう…。
「ふふ。それはよかったです。」
そんな私の焦りを知ってか知らずか、安室さんは何事もなかったようにカウンターの中に戻って行った。
………なんだか自分だけが舞い上がっているみたいで恥ずかしい。
でもわかってた。私にだけじゃない。
安室さんはみんなに優しいし、とびきりの人たらしだったこと。
………私がただ忘れてただけ。
胸がすこしちくんと痛んだ。
私はその胸の痛みの正体が何となくわかる気がした。
けれど気づかないふりをしてミルクティーを1口飲んだ。
「柚希さん、どうかされましたか?」
不意に安室さんの声がして現実に引き戻された。
「……えっと…、どうしてですか?」
「いえ、少し…元気がなさそうに見えたので。」
また、私、表情に出てたのかな…。
安室さん、少し困った顔してる。
「ふふふ。ありがとうございます。…大丈夫ですよ!」
私は明るく聞こえるようにすこし大きな声を出した。
安室さんは少し目を見開いたあと、すぐにいつもの優しい顔に戻った。
「…そうですか。元気ならよかったです。」
「はい!」