第15章 誕生日当日の出来事
〜太智side〜
今日は、早く目が覚めた。
スマホを見つめながら、俺は一人でニヤニヤしていた。
太智君「……何やってんねんやろ、俺(笑)」
たった一通のメッセージ。
たったそれだけなのに、めちゃくちゃ嬉しい。
しかも――。
『ちゃんにそう言ってもらえるだけで、もう嬉しい。』
送ってから気づいた。
……俺、結構攻めたこと言ったよな?
太智君「……まあ、ええか。」
今日は誕生日。
少しくらい素直になってもいい。
それに、昨日、ちゃんと勇斗が二人で出掛けたことが、どうしても引っかかっている。
太智君「……今日は、ちゃんとちゃんと話がしたい。」
そう呟いた。
俺の誕生日。
できることなら――。
一番長く、一番近くでちゃんの笑顔を見ていたい。
〜side〜
午後。
M!LKのヘアメイクが順番に始まる。
私はいつも通り仕事をしているつもりなのに――。
今日は何となく、太智君を見るたびに意識してしまう。
「太智君、次、ヘアメイクお願い。」
太智君「うん。」
目が合う。
「……。」
太智君「……。」
お互いに、なぜか少しだけ照れてしまう。
太智君「……何か今日、変やな(笑)」
「え?」
太智君「いや、何でもない(笑)」
そう言って太智君が笑う。
その笑顔を見ると、やっぱり胸が苦しくなる。
――好き。
やっぱり私は、太智君が好きなんだ。
そう思った瞬間。
太智君「ちゃん。」
「はい。」
太智君「今日、仕事終わったら……少し時間ある?」
「え?」
太智君が何か言おうとした、その時。
葉月ちゃんから声が掛かった。
葉月「塩崎さん、早くヘアメイクしますよ!」
太智君「あ、うん!」
太智君は私を見る。
太智君「……また後で。」
「う、うん。」
そのままメイク室へ入っていく。
私はその背中を見送った。
「……何だったんだろう。」