第14章 もうすぐ誕生日
〜勇斗side〜
ショッピングモールで、俺は隣を歩くちゃんを見る。
さっきから、ずっと笑ってる。
昨日、倒れた時は本当に心配した。
顔色も悪くて、何度呼んでも目を覚まさなくて。
でも今は、こうして笑ってくれている。
それだけで嬉しい。
……だけど。
俺はもう、 ちゃんにとって優しいだけの担当アイドルではいられない。
昨日、ちゃんがテレビに映る太智を見つめていた時、その横顔を見て、分かった。
きっと、ちゃんの中には、まだ太智がいる。
それでも――。
勇斗君「……俺、諦めないから。」
「え?」
勇斗君「ん?」
「今、何か言った?」
勇斗君「いや、何でもない(笑)」
俺は笑って誤魔化す。
でも、心の中では、はっきり決めていた。
太智が好きだからって、俺が引く理由にはならない。
ちゃんが、まだ俺を恋愛対象として見ていないなら――。
俺が ちゃんの恋愛対象になればいい。
俺のことを好きになってもらえればいい。
勇斗君「ちゃん。」
「ん?」
勇斗君「プレゼント、これにしたら?」
俺が手に取ったのは、太智が好きそうな小物だった。
「えっ、可愛い!」
勇斗君「でしょ?」
「うん。これ、太智君、喜びそう。」
勇斗君「じゃあ、これにしよう。」
「でも……私が決めたい。」
勇斗君「・・・そっか、もちろん。」
そう言って俺は笑った。
本当は――。
太智のプレゼントを選ぶ時間なんて、少しも面白くない。
好きな女の子と一緒にいるのに、その子が別の男のプレゼントを選んでるんだから。
それでも俺は、嫌な顔をしない。
だって今日は――。
ちゃんに、俺のことを少しでも意識してもらいたいから。