第14章 もうすぐ誕生日
〜太智side〜
生放送が終わり、楽屋に戻る為、廊下を歩く。
スタッフ「お疲れ様でした!」
「お疲れ様です。」
スマホを取り出す。
ちゃんから、連絡来てないかな。
画面を見る。
……何もない。
「……そりゃそうか。」
昨日倒れたんだから、まだ寝てるのかもしれない。
そう思いながらスマホをポケットにしまおうとした、
その時。
画面が光った。
「 ちゃん」
その名前が表示された瞬間、心臓が跳ねた。
慌てて画面を開く。
『昨日はありがとう。もしかして看病してくれたの太智君?頭に太智君がいつも使ってるタオルが乗ってたから、そう思ったんだけど。』
ちゃん、気付いたんだ。
俺が、ずっとソバに居た事。
俺は、それだけで十分だった。
思わず顔が緩む。
「……よかった。」
ちゃんと元気になったんだ。
返信を打とうとする。
「バレた?(笑)どういたしまして。もう体調大丈夫?」
そこまで打って、ふと手が止まる。
昨日の夜のことを思い出す。
『俺、諦めへんから。』
「……。」
あれを本人に知られるわけにはいかない。
俺は一度文章を全部消した。
そして、もう一度打ち直す。
『そうだけど、もう無理すんなよ。今日はちゃんと休め。』
送信。
スマホを握ったまま、俺は小さく笑った。
「……誕生日まで、あと2日か。」
今年の誕生日。
俺は、誰よりも欲しいものが一つだけあった。
――ちゃんの笑顔。
でも、その笑顔を俺に向けてくれるのか。
それだけが、今は分からなかった。