第14章 もうすぐ誕生日
司会者「おはようございます。今日も、始まりました◯◯(番組名)です。今日のパーソナリティは、M!LKの塩崎さんです!」
太智君「おはようございます。よろしくお願いします」
いつもなら、ちゃんが「頑張って!」と、どんな番組でも笑顔で送り出してくれる。
今日は、その姿がない。
たったそれだけなのに、妙に心細い。
太智君「……大丈夫かな?」
と小さく呟く。
あと、昨日のことを思い出すと、どうしても顔に出そうになる。
昨夜、うわ言で、ちゃんが俺の名前を呼んだ。
そして、俺は本人に聞こえないのをいいことに、好きだと伝えた。
『俺、諦めへんから。』
自分で言った言葉なのに、今になって恥ずかしくなる。
司会者「塩崎さん?今日は、朝からちょっとぼーっとしてませんか?」
太智君「えっ?」
スタジオから笑いが起こる。
太智君「すみません(笑)ちょっと寝不足で。」
司会者「昨日も遅くまでお仕事だったんですか?」
太智君「はい。昨日は夜中まで収録があって。」
司会者「大変ですね。ちゃんと休めていますか?」
太智君「大丈夫です。」
そう答えた瞬間、昨日のちゃんの姿が頭に浮かんだ。
熱で真っ赤になった顔。
力なく倒れた身体。
俺の腕の中で目を閉じたまま、俺の名前を呼んだ声。
太智君「……でも。」
思わず言葉が続いた。
太智君「俺より……頑張りすぎてる人がいて。」
司会者「おや?」
しまった。