第13章 新たなライバル
太智君「俺が聞いても、何も教えてくれなかった。」
勇斗君「……。」
太智君「俺には言えないことなのかな。」
勇斗君「そんなことないだろ。」
太智君「……だったら、何で俺には教えてくれないんだよ。」
自分でも驚くくらい、寂しい声になった。
勇斗は俺の顔を見る。
勇斗君「……お前、相当好きだな。」
太智君「……今さらだろ。」
勇斗君「まあな。俺も相当、好きだけど」
俺は苦笑する。
でも、胸の奥は苦しいまま。
太智君「俺さ……ちゃんが苦しんでる時に、何もできないのが一番辛いんだよ。」
勇斗君「……。」
太智君「今日だって、本当は俺が衣装取りに行きたかった。」
勇斗君「でも俺が車出した。」
太智君「分かってる。だからお前には感謝してる。」
勇斗君「おっ!……素直じゃん。」
太智君「うるさい。」
俺は、少しだけ笑った。
でも、ちゃんの顔を見ると、また笑えなくなった。
太智君「俺がもっと早く気付いてたら……。」
勇斗君「それは俺も同じ。」
勇斗が静かに答えた。
その時。
「……う……」と言う小さな声が聞こえた。
太智君「ちゃん?」
俺はすぐにちゃんの顔を覗き込む。
「……太智……君……」
太智君「……!」
一瞬、心臓が跳ねて止まりそうになった。
ちゃんは、意識がないのに俺の名前を呼んだ。