第5章 【第四話】黒衣に宿る祈り
団服が仕上がったのは、それから数日後のことだった。
「ティファ! できたよ!」
科学班の区画へ足を踏み入れた瞬間、ジョニーの弾んだ声が飛んでくる。衝立の向こう側には、黒い布に包まれた一揃いの団服が用意されていた。
リナリーも既に待っていて、私を見るなり嬉しそうに手を振る。
「待っていたのよ。早く見せてほしくて」
「なんだか、少し緊張するわ」
「大丈夫。絶対似合うから!」
リナリーに背中を押されるようにして、私は衝立の内側へ入った。
旅装の留め具を外し、長い間私を守ってくれた服を、椅子の背へ丁寧にかける。
黒い布地へ袖を通した。
まず感じたのは、思っていたよりずっと軽いということだった。肩を回しても、腕を大きく伸ばしても、窮屈さはない。
高く閉じた襟も、喉を締めつけなかった。深く息を吸い込んでも、苦しくない。銀の肩当てを留め、腰のベルトを締め、最後に手袋を嵌める。
鏡の中に立っていたのは、師匠の後ろを歩いていた旅の少女ではなかった。
――黒の団服を纏った、一人のエクソシスト。
服は軽いのに、鏡の中の自分は少しだけ重く見えた。