第5章 【第四話】黒衣に宿る祈り
やがて採寸を終え、上げていた腕を下ろす。
ジョニーがメジャーを畳んだところで、リナリーがぱっと私へ向き直った。
「それじゃあ、ティファ。少し休んでからでいいんだけれど……今朝話していた訓練、付き合ってくれる?」
「ええ。私も、あなたの戦い方を見てみたいわ」
答えると、リナリーの瞳が明るく輝いた。
「ありがとう! 無理はしないように、軽く動きを合わせるだけにしましょう」
「軽くで済まねぇやつさ、それ」
不意に、衝立の向こうから聞き覚えのある声が割り込んだ。
リナリーが勢いよく振り返る。
「ラビ!」
衝立の端から、赤い髪がひょこりと覗く。
ラビは悪びれる様子もなく、いつもの人懐こい笑みを浮かべていた。
「覗いてたわけじゃねぇさ。たまたま通りかかったら、訓練って聞こえただけで」
「今、衝立から顔を出したでしょう」
「足が、勝手に止まっただけさ」
「同じことよ!」
リナリーの声に、ジョニーが苦笑する。
私は、ラビへ視線を向けた。昨日と変わらない、明るくて軽い表情。
「ティファの戦い方、オレも見たいさ」
「……私の?」
「そりゃ気になんだろ。クロス元帥の弟子で、歌を使って二振りの剣まで出すって聞いたらさ」
「見学するのは構わないけれど、あまり騒がないでね」
「お、許可出た」
ラビが嬉しそうに笑う。
「大人しく見てるさ。多分」
「最後の一言で、もう信用できないわ」
リナリーが呆れたように溜息を吐いた。