第5章 【第四話】黒衣に宿る祈り
「それから、一番大事なのは喉だ。ハイネックの形は綺麗だけど、ティファの場合は発声を妨げたら意味がない。息を大きく吸っても苦しくなくて、首を動かしても擦れない形にする」
私は、思わず彼の横顔を見つめた。
ただ、似合う服を考えているのではない。
私がどう息を吸うのか。
どう歌い、どう踏み込み、どう刃を振るうのか。
まだ出会って間もない私の戦い方を、ジョニーは真剣に形にしようとしている。
「銀の線、綺麗だと思うわ」
リナリーが設計図を覗き込み、嬉しそうに微笑んだ。
「黒い団服で、ティファのレイピアが顕現したら、きっとすごく映えるもの」
「うん。派手にはしないけど、動いた時に光が流れるように見えたらいいなと思って」
ジョニーが頷き、私へ顔を向ける。
「どうかな、ティファ。気になるところがあったら、遠慮なく言ってね。団服は、見た目以上に命に関わるものだから」
――命に関わるもの。
その言葉が、胸に深く残った。
私は鏡の中の自分から視線を外し、作業机に広げられた設計図へ目を落とした。
「……ありがとう、ジョニー」
口から零れた声は、自分でも思ったより柔らかかった。
「私の戦い方を、こんなに考えてくれて嬉しいわ。動きやすくて、歌う邪魔にならないなら……あとは、あなたに任せる」
「任せて!」
ジョニーの顔が、ぱっと輝いた。
「絶対、ティファが戦いやすい団服にするから!」
その勢いに、リナリーがくすりと笑った。
「完成が楽しみね」
「ええ」
私はもう一度、設計図を見つめた。