• テキストサイズ

【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第4章 【第三話】檻と家のはじまり


淀みなく言葉が溢れてくる。

握られた手を引く間もなく、ラビと名乗った少年は満面の笑みで顔を覗き込んできた。


「いやぁ、びっくりした。新入りが来るって話は聞いてたけど、こんな綺麗な子だとは思わなかったさ」

「……あの」

「しかも、なんか雰囲気あるし。いきなり本部の廊下歩いてるだけで絵になるって、ずるくね?」


明るい。
驚くほど人懐こく、距離が近い。

軽口も、笑い方も、こちらを覗き込む仕草さえ妙に自然だった。


普通なら、あまりの勢いに戸惑うだけで終わっていたと思う。

けれど、握られた指先から伝わるものに、私は僅かに息を止めた。


――音が、重ならない。


人の声には、感情の揺れが滲む。

嬉しければ明るく跳ねるし、戸惑えば微かに濁る。
言葉で取り繕っていても、魂の奥にある音までは綺麗に隠せない。

けれど、彼の声は違った。


表に響くのは、屈託のない少年の声。

突然現れた女の子に浮かれ、軽口を叩き、楽しそうに笑っている音。

それは、嘘ではない。

けれど、そのすぐ奥に。
ひどく静かな響きがあった。


乾いていて。

表に溢れる明るさとは、どこか噛み合わない。


笑っている。
楽しそうに、こちらへ興味を向けている。

それなのに。

ほんの僅かに、遠い。
/ 1033ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp