第4章 【第三話】檻と家のはじまり
……いつまでも師匠の背中だけを追ってはいられない。
アレンに、先で待つと言った以上、私自身がここで立たなければならない。
案内役として渡された小型のゴーレムが、甲高い音を立てながら石造りの回廊を進んでいく。
私はその後ろを歩いた。
硬い靴音が、見知らぬ廊下へ響く。
通り過ぎる団員たちが、見慣れない顔へ一瞬だけ視線を向ける。
そのたびに、胸がわずかに強張った。
師匠の弟子というだけなら、まだいい。
けれど、セトラのこと。ニルヴァーナのこと。
どこまで知られているのかは、私にも分からなかった。
そんなことを考えながら、回廊の角へ差しかかった時だった。
「おわっ!」
唐突に、鮮やかな色が視界へ飛び込んでくる。
咄嗟に足を止めた。
目の前で、長身の少年が勢いよく身を翻し、危ういところで私との衝突を避ける。
鮮やかな赤みを帯びた髪。
額へ巻かれたバンダナ。
右目を覆う眼帯。
そして、驚いたように大きく見開かれた、澄んだ翠色の瞳。
少年は私を見るなり、数秒ほど固まった。
「……?」
あまりに真っ直ぐ見つめられ、私も言葉を失う。