第26章 【第二十五話】終幕なき夜・後編
今。
私はレイピアを構え直す。
「……死者を求める心へ入り込み、生者を死へ引きずるその偽り」
静かに、声を落とす。
「私が断ち切る」
AKUMAが咆哮を上げ、こちらへ突進してくる。
私は床を蹴った。
一歩。
二歩。
深紅の裾が、鮮やかに翻る。
そして。
光のレイピアが、AKUMAの核を正確に貫いた。
一瞬。
劇場全体が、真っ白な光に呑まれる。
絶叫。
歪み。
黒い靄が、弾けるように消えた。
やがて、AKUMAの身体が崩れ落ち、細かな塵となって舞台へ散っていく。
静寂。
観客達が、まるで長い夢から醒めたみたいにざわめき始めた。
「何が……?」
「今のは……舞台では……」
「私、どうして……」
混乱した声。
泣き崩れる者。
隣の人へ縋り付く者。
私は荒い息を吐いた。
歌を止めた途端、身体から力が抜けそうになる。
その瞬間だった。
「素晴らしい……!」
背後から、熱に浮かされたような声が響いた。
振り返る。
支配人が、舞台へ上がって来ていた。
その顔には、恐怖も焦りもない。
むしろ、壊れた舞台を前に、恍惚とした笑みを浮かべていた。