第25章 【第二十四話】終幕なき夜・前編
神田は視線を逸らさない。
「あの顔、何だった」
私は一瞬、息を止める。
初めて彼と向き合った時。
刀を振るう神田を見た瞬間、喉の奥で『ニルヴァーナ』が強く警戒した。
まるで、目の前にいる彼が“生きている人間”でありながら、どこか違う場所へ繋がれているような。
説明の出来ない違和感だった。
私は小さく視線を伏せる。
「……別に」
「嘘つけ」
即答だった。
怒っているわけではない。
けれど、逃がす気もない声だった。
「お前、俺を見た瞬間、変な顔してた」
「神田も、すごい睨んでたじゃない」
「話逸らすな」
短い声。
静かな沈黙が落ちる。
私は窓の外へ視線を向けた。
流れていく夜景。
規則的な走行音。
私はゆっくり息を吐いた。
「……あなたの魂に、少しだけ違和感があるの」
その瞬間。
空気が、僅かに張った。
神田の目が細くなる。
けれど、私は続けた。
「上手く言えないけれど……魂の奥に、何かが引っ掛かっているみたい」