第3章 【第二話】次へ繋ぐ手
「……それでも、行かないと。私が何者なのか、知らないままではいられないから」
母の魂を送った歌と、母を奪ったAKUMAを消した光。その二つで、私はこれまで幾度も誰かの苦しみを終わらせてきた。
自分の力と向き合うのは怖かった。このままずっと、目を逸らしてはいられないと思った。
「それに、師匠について歩くだけじゃなくて……私も、自分で決めて進まないといけない」
アレンはただ、苦しそうに唇を噛んでいる。
私は少しだけ迷い、それから彼の傍へ歩み寄った。
「アレンは、師匠と一緒にいて」
「……僕も、行けます」
「駄目」
思ったよりはっきりと声が出た。
アレンが目を見開く。
「まだ、あなたには師匠から学ばなければいけないことがある」
「でも、ティファが一人で――」
「一人で行くから意味があるの」
静かに遮る。
……本当は、一緒に来てほしい。
喉まで出かかった言葉を飲み込む。
「あなたは、私を守るためだけに強くなるんじゃないでしょ?」
アレンの瞳が揺れる。
「……それは」
「あなたが救いたいと思う人は、これからきっとたくさん現れる。だから、私一人のために立ち止まらないで」
その言葉は、思っていた以上に自分の胸へ痛く刺さった。
……アレンを置いていくようで、苦しいけど。