第3章 【第二話】次へ繋ぐ手
アレンは一瞬だけ言葉に詰まり、それでも視線は逸らさなかった。
「……そうです」
その答えに、私は思わず瞬きをした。
男たちは声を上げて笑ったが、店主が間へ入り、その場はそれ以上荒れなかった。
酒場を出ると、夜の空気が火照った肌へまとわりつく。
月明かりの下、私はアレンと並んで歩いた。
「……護衛だったの?」
アレンの耳が、わずかに赤くなる。
「だって……あの人たち、ティファに近付きすぎでしょ」
「お客さんだから、多少は仕方ないわ」
「触ろうとしてたじゃないですか」
思いのほか強い返事に、私は足を止めた。
アレンも数歩先で立ち止まり、はっとしたように振り返る。
「ご、ごめん……僕……」
「ううん」
私は小さく首を振った。
「ありがとう。来てくれて、助かったわ」
その言葉に、アレンは目を伏せた。口元が、少しだけ緩んでいる。
再び歩き出す。
アレンは、いつもよりわずかに私の近くを歩いていた。
宿が見えてきた頃だった。
「……強く、なりたい」
隣の足音が、止まっていた。振り返ると、アレンが真っ直ぐにこちらを見ている。
「……守れるように」