第3章 【第二話】次へ繋ぐ手
向かいに立つアレンは、荒い息を吐きながら、異形化した左腕を構えている。
額には汗が浮かび、白い髪が頬へ張りついていた。まだ少年の身体には、師匠の修練は過酷すぎるほどだった。
それでも、アレンは倒れない。
私は小さく息を吸った。喉の奥で、ニルヴァーナが熱を帯びる。淡い白銀の光が両手へ集まり、二振りの細身のレイピアとして形を結んだ。
光の刃を構え、一歩踏み込む。
鋭く突き出した右のレイピアを、アレンの左腕が受け止めた。高い音が弾け、白銀の光が火花のように散る。
私は左の剣を返し、その足元へ滑り込ませた。
アレンは咄嗟に後方へ跳ぶ。けれど、着地の重心がわずかに崩れた。
次の瞬間、私の剣先は彼の胸元すれすれで止まっていた。
歌を止めると、白銀の刃が消えた。
「……今のは、死んでいたわ。力任せに受けないで。相手の動きを見て」
アレンは悔しそうに唇を噛んだ。
肩で息をしながら、それでも顔を上げる。
「もう一度、お願いします」
昔のような、何も映さない瞳ではなかった。
負けたくないという悔しさも、守れる力が欲しいという願いも、そこには確かに宿っていた。