第23章 【第二十二話】もう戻れない夜
指を絡めて、夜更けの回廊を歩いた。
何度か視線が合って、そのたびに、どちらからともなく笑ってしまう。
部屋の前で、足が止まる。絡めた指が、なかなか離れない。
廊下の灯りが、彼の赤い髪を淡く照らしていた。
「……今夜、ぜってぇ寝不足さ」
「……私も」
ラビは目元を緩めて、ぽんと私の頭に手を乗せた。
「……おやすみ、ティファ」
聞き慣れたはずの名前が、くすぐったい。
「……おやすみなさい、ラビ」
「……やっぱ最後に、もっかいだけ」
答える間もなく、軽く唇が触れた。
離れたラビが、天井を仰いだ。
「……ほんと帰したくなくなるから、もう部屋入れ」
「ふふ、命令?」
「お願い」
吹き出すと、ラビもつられて笑った。
絡めていた指を解いて、扉に手を掛ける。入る直前、どうしても、もう一度振り返ってしまった。
ラビはまだそこに立っていた。視線が合うと、照れたように目を逸らして、ひらりと手を振る。
笑みを残したまま部屋に入って、静かに扉を閉めた。
扉に背中を預けた途端、膝から力が抜けそうになった。
「……ラビ」
唇に、指先で触れてみる。まだ、熱が残っていた。
この先のことは、今だけは考えたくなかった。
――明日も、会える。
両手で頬を押さえても、口元が緩んでしまう。
……やっぱり今夜は、眠れそうにない。