第24章 【第二十三話】触れていい理由
「……隙だらけだ」
「……右が使えたら、躱せてたわ」
「実戦で敵に同じこと言う気か」
「言わないわよ」
「なら黙って反省しろ」
……ぐうの音も出ない。
床に寝転がったまま、むっと唇を尖らせる。
「……ガキか」
見下ろしてくる神田の脛を、木剣で軽く叩いた。
「っ……てめぇ」
「言い方ってもんがあるでしょ」
舌打ちしながら木刀を引いた神田から、タオルが飛んでくる。顔で受け止めてしまった。
「……雑」
「避けねぇのが悪い」
汗を拭って、タオルを首に掛ける。
「あ、いた。ティファー」
入口から、聞き慣れた声が響いた。振り返ると、ラビが片手を軽く上げて立っていた。
いつもの軽い笑みが、視線が合った途端、ふっと甘く崩れる。
「……ラビ」
自分でも分かるくらい、声が柔らかくなった。
「部屋行ったらいねぇんだもん。やっぱここか」
ラビは鍛錬場に入ってきて、迷わず私の隣に立つ。腕が触れそうなくらい、近い。ひょいと、背中を覗き込まれた。
「背中、埃ついてんぞ。……ユウに転がされたな?」
「ファーストネームで呼ぶな」
「へいへい」