第24章 【第二十三話】触れていい理由
ラビの視線が、私の右肩に落ちる。
「……無茶してねぇだろうな」
「してないわ。今日は軽くだけ」
「ホントかぁ?」
「神田にも、同じこと言われた」
「へぇ」
ラビは私の首に掛かったタオルを取って、額の汗を拭った。
「自分で拭けるわよ」
カタン、と乾いた音がした。神田が、木刀を台に置いた音だった。
「……鬱陶しい。他所でやれ」
「ちょっと、神田。まだ途中でしょう?」
神田は返事をせず、そのまま鍛錬場を出ていった。
重たい音を立てて、扉が閉まる。
「……さっき叩いたこと、根に持ってるのかしら」
「叩いた?」
「……脛を、ちょっと」
「オレがやったら、今頃六幻の錆さ」
笑いながらも、ラビはしばらく閉まった扉の方を見ていた。
こちらに向き直ったラビが、私の首にタオルを掛け直した。
「ユウの代わり、ってわけじゃねぇけどさ。怪我治ったら、オレが相手してやるよ。……そん時は、容赦しねぇけど」
「ほんとに? ラビ、なんだか手加減しそう」
「……しねぇよ。たぶん」
自信なさげに付け足された一言に、笑ってしまう。
「……手加減したら、許さないから」
「……おう。肝に銘じとく」
ばつが悪そうに頭を掻いたラビに、手を取られる。
繋いだ手は、鍛錬場を出ても離れなかった。