第24章 【第二十三話】触れていい理由
それから数日もすると、ラビは前よりずっと自然に、私に触れるようになっていた。
もともと距離の近い人だった。でも今は、触れていい理由を手に入れてしまったみたいに、遠慮がない。
二人きりになると、途端に近付いてくる。人気のない回廊で足を止めた時も、医療班からの帰り道も、ふいに背中が温かくなって、ラビの腕がお腹に回ってくる。
「……ラビ」
「んー?」
「重い」
「ひでぇ」
そう言いながら離れる気配はなく、肩口に額を預けてくる。
ごくたまに、誰もいない廊下の角で、短く唇が触れることもあった。そのたびにラビは満足そうに笑うのに、私は口元を押さえたまま、しばらく動けなくなる。
ある日の午後。部屋のランプが壊れて、替えがないか科学班へ聞きに行った。
「ランプ? ああ、それなら資材置き場に予備があったはずだ」
書類の山から顔を上げたリーバー班長が、疲れた目で答えてくれる。
「場所は――」
「オレ分かるさ」
いつの間にいたのか、ラビが後ろから口を挟んだ。
「ちょうど暇だし、案内してやる」
「……助かる。悪いな、ラビ」
ひらひらと手を振るリーバー班長に見送られて、ラビの後に続いた。