第24章 【第二十三話】触れていい理由
ふと視線を感じて顔を上げると、向かいのリナリーと目が合った。私の顔と、ラビの顔を、交互に見ている。
「二人とも、隈……おそろいね」
「っ……!」
「そっか。ふふっ……なるほどね」
リナリーは、自分の毛先を指でつまんで、目配せした。
「ティファ、顔が赤いが、熱でもあるのか?」
クロウリーが、レンゲを握ったまま身を乗り出してくる。
机の下の手が、びくりと強張る。
ラビの手は、離れない。
「まさか、傷が悪化して……っ、大変である! 医療班を――」
「ち、違うの! 本当に大丈夫だから……!」
隣で、ラビが堪え切れずに笑い出した。
「っはは……クロちゃん、それ以上聞かねぇ方がいいさ」
「ぬ? 何故であるか?」
「クロウリーは知らなくていいの」
にっこり笑うリナリーに、クロウリーは首を傾げながらも、さっき教わった通り小籠包をレンゲに乗せ始めた。
食卓に、いつもの賑やかさが戻ってくる。
少し迷ってから、包まれた手を握り返す。
ラビの手が、びくりと強張った。
ちらりと見上げると、ラビはふいと窓の方に顔を背けた。髪の隙間から覗く耳の先が、ほんのり色づいている。
紅茶の水面ばかり見つめていても、口元は、どうしても誤魔化せなかった。