第3章 【第二話】次へ繋ぐ手
Side:アレン
僕の世界は、あの日からずっと灰色だった。
僕が願って、マナを呼び戻して、この左手で壊した。
いつからか、涙は出なくなっていた。泣くことさえ、僕には許されない気がした。
もう二度と、マナに会えない。僕だけが、まだ息をしている。
屋敷には、銀色の髪の女の子がいた。
最初は、何度も水を運んでくる人だと思っていた。僕が目を合わせなくても、何も話さなくても、彼女は無理に笑いかけたりしなかった。ただ、いつも少し離れたところにいた。
近付かれるのは怖い。
けれど、誰もいなくなるのはもっと怖い。
彼女は、僕が怖がらない場所にいてくれた。
夜になると、マナの夢を見た。
マナに会いたいなんて、言ってはいけないと思っていた。
けど、あの雨の夜。気付けば、会いたいと口にしていた。
――会いたいよね。
彼女が言った、たったそれだけの言葉が、何よりも苦しくて、何よりも救いだった。
その夜、彼女も自分の気持ちを話してくれた。苦しい、と。今でも、時々息ができなくなるくらいだ、と。それでも、歩いている、と。
僕だけじゃなかった。
なのに僕は、縋ってばかりだった。
師匠は、僕に歩き方を教えてくれた。ティファは、歩けない夜に泣いてもいい場所をくれた。
いつか、この人の傍に立てるようになりたい。ただ縋るだけではなく、この人が苦しむ時に、手を伸ばせるようになりたい。
――彼女を、失いたくない。